麻痺・後遺症が残った時の治療

ベル麻痺・ハント症候群の場合:治療を行っても、重症の場合は麻痺・後遺症が残ることがあります。また、不適切なリハビリによって病的共同運動などの後遺症が重篤化することもあります。麻痺発症後1年以上経過しても麻痺・後遺症が残る場合には、以下に述べる対症療法的な治療を行うこともあります。

・顔面非対称:重症の患者さんでも時間が経てば顔の動きはかなり回復します。しかし、顔面拘縮(顔の筋肉全体が収縮して緊張している状態)があると、口が麻痺側に寄ったり、鼻の横のしわが深くなったりして、顔面が非対称になります。また、前頭筋の麻痺は回復しないことも多く、特に高齢者では上まぶた・眉毛が下がってしまって、目が開きにくくなることもあります。このような顔面の非対称に関しては、形成外科的な治療が行われます。どのような手術が適応になるかや、手術の効果・効果がどれくらい持続するかは、個々の症例で異なりますので、実際に形成外科を受診して相談してみてください。
・病的共同運動:「顔面神経麻痺のリハビリ」のページに詳しく書いていますが、不適切なリハビリによって重篤な病的共同運動が生じることがあります。食事・会話の時など口を動かしているうちに目が閉じてしまう場合は、「目を大きく見開いた状態で口をとがらせたり・横に開いたりする」リハビリが効果的なこともあります。症状が強い場合は顔面けいれんの治療に準じて、ボツリヌス毒素による治療を行うのが一般的になりつつあります(ボツリヌス毒素による治療の項を参照してください)。

 腫瘍切除後や中耳炎手術後の場合:耳下腺腫瘍や聴神経腫瘍・顔面神経鞘腫などの腫瘍切除後や中耳炎手術後の麻痺後遺症では、上記の他に顔面神経再建手術を行うこともあります。最初に行われた手術の方法(顔面神経の残り方)により治療法を選択します。

北大病院形成外科 https://www.med.hokudai.ac.jp/%7Eplast-w/hosp/index.html 
および神経外科澤村豊先生のホームページhttps://square.umin.ac.jp/sawamura/もご参照ください。