いつ頃治るのでしょう?

顔面神経麻痺を発症した患者さんがまず最初に知りたいことは、いつ頃・どの程度まで治るのか ということだと思います。重要なことは、末梢性顔面神経麻痺の多くは回復するまでに時間を要し、治療を開始して数日で良くなることは少ないのです。一度障害された神経が障害された部位から徐々に再生するのに時間を要するためです。
それぞれの患者さんの麻痺の程度によって、また原因・治療によって回復の過程は大きく異なるのですが、ここで大体の目安について書いておきます。ただし、ここで述べるのはあくまでベル麻痺・ハント症候群についてです。腫瘍や中耳炎・外傷などが原因の場合、あるいは他の合併症がある場合にはあてはまりません。

麻痺の程度:通常、麻痺が発症してから1週間程度は症状が進行することがありますので、麻痺の程度は1週間以上経たないと判定できません。原則として麻痺が重症なほど治るまで時間がかかり、治り方も不十分なことがあります。後遺症も重症なほど残ることが多くなりますがリハビリ(やりすぎは禁物)で、ある程度は予防できます。

重症の場合:動きが正常の20%以下の状態で すが、外見的にもかなり麻痺が目立つ状態です。2-3カ月で麻痺が改善する患者さんのグループ(神経障害が軽度)と3-6カ月くらいでようやく麻痺が改善 し、さらに程度は様々ですが後遺症が生じる患者さんのグループ(神経障害が高度)に大きく分かれます。このように同じ重症でも神経の障害の程度によって回復過程異なります。発症してから1~2週間後に電気生理学的検査を行うと、回復の過程を推定することができます(「麻痺の検査」をお読みください)。

軽度~中等度の場合:顔の動きが正常の半分以上の場合が軽度(安静にしていればあまり目立たない)、20%~50%程度の場合が中等度になります。軽度の場合は1~2カ月以内、中等度の場合は2~3カ月程度で完全に治ることが多く、後遺症の心配もあまりありません。