麻痺の症状

顔面神経麻痺が起こると、顔の筋肉が麻痺して顔が曲がった状態になります。

 眼を閉じることが困難になったり、水を飲むと口から漏れたりします。通常は顔面の片側のみに生じます。よくみられるベル麻痺、水痘帯状疱疹ウイルスが原因のハント症候群では、これらの麻痺症状はある日突然現れます。また、麻痺が現れる前に麻痺した側の舌がしびれたり、耳周囲の痛みが生じたり、顔がピクピク痙攣(けいれん)したりすることもしばしばみられます。

 顔面の麻痺は3-4日間で悪化し、片側の顔面が全く動かなくなることもよくあります。従って、数週間・数ヶ月の経過で徐々に顔面の麻痺が生じた場合は、ベル麻痺・ハント症候群以外の顔面神経麻痺を生じる病気を疑います。

 また、顔面神経には味覚を伝える神経、涙や唾液を分泌させる神経、大きな音から内耳を守るため鼓膜を緊張させる反射を起こす神経も含まれています。そのため、顔の麻痺とともに、麻痺した側での味覚の障害、涙の分泌低下、音が響くなどの症状を伴うことがあります。

 ハント症候群の場合は、前述のように耳(耳介)や口の中に帯状疱疹が生じ、激烈な痛みを伴い、さらに耳鳴り・難聴・めまいを伴うこともあります(詳細はハント症候群のページを参照)。
 
原因不明のベル麻痺でも、耳周囲の痛みを伴うことはよくあります。