ベル麻痺・ハント症候群の場合絶対にやってはいけないこと

最 近の質問メールの中にやってはいけない治療を受けている方が散見されましたので、ここにまとめて書いておくことにしました。末梢性顔面神経麻痺という病名 でも、神経の障害が軽度の患者さんはリハビリをしなくても良くなります。神経の障害が高度の患者さんでは、回復の過程で 後遺症が少なからず生じます。神経の障害の程度(軽度か、高度か?)は、麻痺が生じてから 1週間以降に電気生理学的検査を行うと判定することができます(「麻痺の検査」をお読みください)。
 神経の障害が高度な患者さんの場合、絶対にやってはいけないことですが、麻痺のリハビリのところに書いてあるように
電気刺激・低周波などで無理に動かすこと、顔に力を入れて動かす訓練をやりすぎることです。実はリハビリ科のある大きな病院であっても、低周波刺激が顔面神経麻痺の後遺症を起こりやすくすることが知られていない場合もあるのです。病院で勧められても、低周波刺激によるリハビリだけは受けないようにしてください。また、自分で顔を動かす訓練も強くやりすぎるとよくありません。目をつぶる動きをするときは頬や口の周りが動かない程度に軽く動かすこと、食事の時や話す時など口を動かすときは目をなるべく閉じないように・見開くような感じの方がよいと思われます。

 もう一つは受診せずにしばらく様子をみて、悪くなってから受診することです。顔面神経麻痺は早期診断・早期治療が大原則ですので、早期受診をお願いします。特に水疱瘡のウイルスで起こるハント症候群の場合は発症後3-4日以内に抗ウイルス剤を
投与するのが最善の治療法ですので、耳やその周囲に痛みを伴う水疱(みずぶくれ)や痂皮(かさぶた)が生じている患者さんでは1日でも早く耳鼻咽喉科を受診してください。