ハント症候群(みずぼうそうのウイルスによる麻痺)

末梢性顔面神経麻痺の原因として2番目に多いのは水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうをおこすウイルス)でありハント症候群と呼ばれています。

顔面神経麻痺に加えて耳(耳介)や耳の中、口の中に水疱(みずぶくれ)や痂皮(かさぶた)が生じます。また、激しい耳痛、咽頭痛、頸部痛、頭痛を伴うこと が多く認められます。帯状疱疹がよくなってからも痛みが続く患者さんもしばしばみられますが、通常は2-3ヵ月で改善します。腰部、胸部、顔面など他の部 位では帯状疱疹後神経痛といい、神経痛が後遺症として残ることがしばしばありますが、ハント症候群で神経痛が残ることは極めて稀です。さらに耳鳴り・難 聴・めまいを伴うことがあります。これは顔面神経と伴に内耳の神経が障害されるため生じます。

これらの顔面麻痺、水疱(みずぶくれ)・痂皮(かさぶた)、耳鳴り・難聴・めまいの症状は同時に生じることが多いのですが、前後して生じることもあります(例えば耳に痂皮が生じた数日後に顔面麻痺が発症する、顔面麻痺が生じた数日後に耳に水疱が出現するなど)。

ハント症候群は麻痺が重症であることが多く、また高度の神経障害から麻痺の回復が遅く、後遺症が生じる率が高い疾患です。