FAQ

Q1:顔面神経麻痺のリハビリについてですが、温熱療法として蒸しタオルを利用する方法について、詳しく教えてください。

A1: あまり厳密に決めているわけではありませんので、「熱すぎない温度で、1回5-10分程度、1日2回程度」ということでやっていただければよ いと思います。既に私達のHPを読んで頂ければおわかりと思いますが、実はいろいろなことを一生懸命やることよりも、リハビリをやりすぎないことの方が重 要です。特に低周波については、顔面神経研究会でもその悪影響が報告されていて、私達も絶対禁忌と考えています。しかし、耳鼻咽喉科医やリハビリ科の医 師・理学療法士でも知らない方が多いようで、一般にはあまり知られていないようです。

Q2:低周波刺激による治療・リハビリについてはかなり否定的なようですが、根拠となる論文などがありましたら教えてください。

A: 低周波が禁忌であることについては帝京大学のリハビリ科の栢森先生の論文( JOHNSVol 16、455-460,2000)に書いてあります。栢森先生は日本顔面神経研究会でも発表されておりますが、その学会においても低周波刺激は禁忌という 意見が大勢であり、当科でもそれに従っております。

Q3:現在の通院中の病院で低周波刺激を行われています。このHPの記載をみて治るのか心配です。良い方法はないでしょうか?

A: 低周波刺激は「高度の神経障害がある患者さんには」禁忌です。あなたの場合、神経障害の程度が不明なので、後遺症が出現する可能性があるか、否 かで禁忌なのか、やっても、やらなくても一緒なのかが異なります。「刺激すると顔が痛いのでやりたくない。」と言い訳する手もあります。

Q4:2歳の女の子ですが、急性の顔面麻痺になってしまいました。治るのでしょうか?

A: まず、耳鼻咽喉科医の診察を受けて、中耳、耳下腺に病気がないかを調べてもらってください。原因不明のベル麻痺の場合、私どもの統計では小児 (15歳以下)の麻痺例は95%の患児で完治します(成人と同じようにステロイド剤を使用することが多いです)。但し2-3ヵ月かかることもあります。残 りの5%の患児もそれほど目立つ後遺症は残らないことが多いです。但し、もし3ヵ月経過しても麻痺の回復傾向がない場合は、麻痺の原因を画像検査などで調 べ直した方が良いと思われます。

Q5:妊娠中に顔面神経麻痺になってしまいました。良い方法を教えてください。

A: 妊娠中や出産後に顔面神経麻痺になることがしばしばあります。原因は不明ですが、妊娠・出産により血液の固まりやすさなどが変化して、循環不全 を来たし麻痺が発症するという説と、ストレスからウイルスが再活性化して麻痺に至る説などが考えられていま。私どもが同じような患者さんを調べた結果で は、ウイルスはあまり関与していないようです。
 産科の医師に相談して、ステロイド剤が使用できるか否かを確かめます。もし、ステロイド剤が使用 できない場合や、ステロイド剤の使用を希望されない場合 は、ビタミンB12剤のみ、またはリハビリのみで経過をみるのが良いでしょう。ベル麻痺であれば、何も治療しないで自然の経過をみた場合の治癒率は70% 程度と報告されております。

Q6:25歳の女性ですが、18歳の時に右側の顔面神経麻痺にかかり、今回は左側もなってしまいました。原因は何でしょうか?

A: 原因不明のベル麻痺の場合、再発することもあります。統計では約7%の方が再発します。再発の仕方も、左側右側交代して生じることが多いようで す。また、同じ側が麻痺することもあります。3回以上繰り返す方も稀にみられます。再発の原因はまだわかっていません。但し、同じ側のみ何度も繰り返す方 では顔面神経の腫瘍が発見されることがありますので、MRI検査をおすすめします。

Q7: 下口唇のみの麻痺について教えてください。3ヵ月の男の子ですが、下唇のみ麻痺があ ります。普通にしている時はわかりませんが、泣いたりして口を大きく開けると、引きつれたようになってしまいます。外傷性ではなく、先天性の神経の断裂が 原因と言われ、完治しないことが多いと言われました。ミルクを飲むときには特に問題はありません。

A: 症状を伺いますと口角下制筋形成不全症と思われます。この病気の原因は定かではありません。外傷性ではなく、筋肉(または神経)の形成不全で口 角下制筋(下唇を下外側にひっぱる筋肉)に最も多く発生します。日常の生活には支障をきたさない方がほとんどです。発育とともに目立たなくなることもあり ます。思春期頃になり、患者さんが気にされるようでしたら、十分な相談の上、形成外科的治療を行うこともあります。

Q8:星状神経節ブロック療法について教えてください。

A: 日本では星状神経節ブロックを施行している施設が多くみられます。実際、局所(顔面)の血液の循環を良くする効果が認められます。しかし、局所 注射という侵襲が加わり、また顔面神経麻痺に対する効果は科学的には証明されていないのが現状だと思います。また、治療期間、治療回数など施設により様々 です。

Q9:聴神経腫瘍の摘出後に顔面神経麻痺になってしまいました。形成外科的な治療をすすめられましたがどうでしょうか?

A: 聴神経腫瘍の摘出後、中耳炎の手術後、耳下腺腫瘍の手術後に生じた麻痺では、数ヵ月経過をみても治らない場合、顔面神経再建手術や形成外科的手 術による治療が主体となります。この場合、顔面神経麻痺症例を多く手術している施設に相談することをお勧めします。形成外科医の他、聴神経腫瘍の摘出後の 麻痺に対しては、手術を行った脳外科医、耳鼻咽喉科医が顔面神経再建手術も行っていることが多いです。また、中耳炎の手術後、耳下腺腫瘍の手術後では耳鼻 咽喉科医も顔面神経再建手術を行っています。北大病院形成外科
(http://www.med.hokudai.ac.jp/%7Eplast-w/hosp/index.html)、および神経外科澤村 豊先生のホームページ(http://square.umin.ac.jp/sawamura/)もご参照ください。

Q10:顔面神経麻痺に詳しい病院を教えて下さい。

A: 検索サイトで「自分が通えそうな市町村名」と「顔面神経外来」の組み合わせで調べるとよいと思います。顔面神経外来が無くても、「神経耳科」を 専門にしている耳鼻咽喉科だったら診断・治療には問題ないと思われます。また、通常の耳鼻咽喉科でも「電気生理学的検査」(筋電図とか電気で刺激を行う検 査←低周波刺激による治療・リハビリとは違います。)を行っているところならば、顔面神経麻痺の重症度の診断が可能ですので、問い合わせてみてはいかがで しょうか?
 ただしリハビリについては、耳鼻咽喉科医でも顔面神経研究会に積極的に参加している医師以外はあまり知らない可能性があります。特に低周波によるリハビリは勧められても絶対に受けないようにしてください。


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