原因

 顔面神経は耳がついている頭の骨(側頭骨)の中にある内耳・中耳と耳下腺(耳の下にある唾液腺の)の中を通ってた後に、顔の表情をつくる筋肉に分布しています。

 そのいずれの部位での障害でも顔面神経麻痺が起こります。側頭骨内にできた腫瘍、急性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、側頭部の骨折・外傷、耳下腺 腫瘍などに顔面神経麻痺を伴うことがあります。顔面神経そのものから腫瘍(顔面神経鞘腫)が発生することもあります。また、上記の病気の手術治療により麻 痺が生じることもあります。末梢性顔面神経麻痺の原因として2番目に多いのは水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうをおこすウイルス)であり”ハント症候群”と呼ばれています。顔面神経麻痺に加えて耳介や耳の穴に水疱(みずぶくれ)や痂皮(かさぶた)伴うことで診断されます。

 一方、多くの末梢性顔面神経麻痺の原因は不明であり、このような場合は”ベル麻痺”と呼ばれています。つまり末梢性顔面神経麻痺で最も多いのは原因不明のベル麻痺なのです。

 ベル麻痺の中に、ウイルス(特に風邪の時の口の周りの水疱や口内炎をおこす単純ヘルペスウイルスや水ぼうそうや帯状疱疹をおこす水痘帯状疱疹ウイルス) が原因となっている例がしばしば認められます。最近ではこれらのウイルスがベル麻痺の原因の多くを占めることが分かってきました。